山口画廊
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      ── 森に帰る日 ── 風鈴丸の世界展
     2012年 5月23日 (水) 〜 6月11日 (月)
        ※ 6月2日 (土) pm 作家在廊

伝統木版の技芸から生み出される、鮮やかな色彩に満ち溢れた、新
しい木版画の世界。その詩的な幻想に彩られた、不思議な懐かしさ
を湛える世界は、現代に特有の冷たく乾いた心に、温かな潤いをも
たらす。木版画の新作に、新たなインク画を交えて贈る6回展、今
宵もまた、遥かな記憶を呼び覚ます、あの澄み渡る星月夜の森へ。
Fuurinmaru  (1969〜)

幻想的で透明な詩情を湛えた、独特の心象世界を表現する木版画の
異才。浮世絵伝統木版を原点とする、高度な多色摺りの技法をベー
スに、版木を彫り、複数の版を重ねて摺るという複雑な工程を、す
べて単独でこなす。
通常の木版制作を上回り、時に10版を超えて、20度にも達する
摺りから生み出されるその作品は、木版画のイメージを超えた鮮や
かな色彩に満ち溢れ、更に自作の詩を画面に刻み込む独自のスタイ
ルが、かつてない不思議な感性に満ちた、シュールな世界を現出し
ている。
初期の憂いを湛えた夢幻的な作風から、近年の温かな心情の溢れる
作風へと、その表現は時と共に緩やかな変化を見せるが、作品の根
底には一貫して、人や自然に宿る「いのち」と「こころ」を見つめ
る、豊かで柔らかなまなざしがある。孤独・夢想・神秘・憧憬、そ
して優しさ・哀しさ・切なさ・愛しさ、そんなみずみずしい情感が
脈打つ珠玉の作品群は、静かなどこか懐かしい魅力を放って、いき
いきと見る者の心を打つ。
近年は木版画に限らず、油彩やガラス絵の制作、インク画や絵本へ
の挑戦、更には樹脂人形や壁画の制作に到るまで、表現の領域を大
きく広げ、ジャンルを超えたその意欲的な制作は、ユニークな活動
を展開する女流アーティストとして、いよいよ注目を集めつつある。

「ある夏、満天の星空よりも強く光を放つ、蛍の群を見た。自然は
いつも幻想を含んで、確かに“全てのみえるものは、みえないものに
触れている”。ある秋、すすき野原から浮き上がる巨大な満月を見た。
それを歓喜するように、すすきが月の光を浴びて、波のようにうね
った。こんな風景に出会えただけで、生まれてきて本当によかった
と思う。いつも何かに向かい、風を受け、地面を踏みしめて歩き続
け、そして僕らは森へ帰ってゆく」
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