住宅の断熱工事について少し説明させていただきます。
先ず、弊社の基本の断熱工事は内断熱です。カナダの家ですからカナダの仕様そのままで施工しています。カナダ・アメリカの北米型の住宅は殆どが内断熱中心です。北米大陸と一口に言っても、ご存知のようにものすごく広い大陸です。南部の方は赤道に近くなり亜熱帯の気候ですし、北の方のカナダではオーロラまで見られる北極圏なのです。また太平洋岸のノースウェスト地域は1年中雨が降っている湿度の高い地域です。大陸中央部は砂漠のような乾燥大地で雨が少なく、南東部ではハリケーンや竜巻が頻繁に襲います。そういう意味で色々な過酷な気象条件に合わせて家造りが各地で繰り広げられているのです。
また彼らの国民性から言っても、とことん拘る性格、妥協や平凡が嫌いな人種ですから、かなり内容の濃い、素敵で可愛い、大きく豪華な家ばかりです。私は毎月のようにアメリカとカナダに買い付けに行きます。そして毎回のように現地の現場に出向き、コンテンプラリー(最新のスタイル)なデザイン・工事を見ています。
「一度皆様に現地の家を見せてあげたい。」というのが私の強い気持ちです。日本の皆様に世界標準の先進技術の粋を見せてあげたいです。きっと貴方があれを見たとき、息が止まることでしょう。実は僕がそうであったのです。日本の家とは全くレベルが全然違います。勿論値段も全然違いますが・・・。しかし日本で言うような坪単価表示にすると、逆に物凄く安いのですよ・・・。
息が止まるとは、ただただ“目から鱗”と言う感じです。「本物の家とはこれか!」って、お思いになるでしょう。デザインの凄さ、家の広さ、外観の素晴らしさ、内装の豪華さ、部屋の広さ、ガーデニングの多様さ、どこを見ても溜息が出るばかりなのです。
そんな現地の最先端の断熱工事を、高度な先進技術の断熱工事に少し触れます。
答えから言うと、外断熱も内断熱も北米でも存在しますし、勿論、断熱材メーカーでもかなり時間をかけて研究されています。しかし、現実問題、北米で殆ど全ての家は内断熱工事のみです。
はっきり言える事は北米の尚且つ、極寒地域で施工されている外断熱工事は内断熱工事が完璧な家でのみ追加工事的に行われています。カナダのどの地域でも冬場はかなり気温が下がります。寒い日は摂氏マイナス30度にもなるのです。内断熱の工事内容も凄いのですが其の上、外壁に通気層を設けた上に本物の厚いレンガを積むのです。勿論、日本のようにウレタンフォームもアメリカ・カナダにもあります。全ては内断熱が完璧に施工された上で、予算があるリッチな人がより快適を望む為にのみ施工されているのが現実です。
付け加えて申し上げでおくと、ウレタンフォームは石油系で出来ていて、燃えやすく、もしも燃えると真っ黒な黒煙を発生します。問題のシアンガスの発生は棚上げですか?一酸化炭素は?炭酸ガスは?ダイオキシンは?色々な問題がそこには隠されています。私は心配です。そんな材料を外壁に張って、果たして大丈夫なのでしょうか。火災の時のことは考えられているのでしょうか。少なくても充填断熱材のグラスウールは燃焼時の問題はありません。外断熱をこうして検証してみると私はとても心配で疑問を感じざるを得ません。
日本の一部の大手ハウスメーカーが躍起になって宣伝している、外断熱のみって言う施工法でその目的を達成できるのかって言うことですが、私の意見はNOです。もっとはっきり言わしてもらえば間違った施工です。
まず、断熱の意義定義はいったい何でしょうか? 皆さんよく考えてください。
家の中で出来るだけ人間が快適に過ごすための、家の作り方でしょう。もしこの地球のどの場所でも人間にとって一番快適に過ごせる摂氏20度位で気温が変わらないとしたら、断熱工事は必要ありません。しかし実際はそうではありません。温度差があり、湿度差もあります。広い地球上では色々な気象条件があり、かなりの厳しい気候下で住宅が作られている現実です。気温や湿度だけでなく、雨や風、雪や台風まで考えて家は造られなければならないのです。
世界的に見て現代の家造りの実際は換気・空調を踏まえた工事を取り込んでいない先進国は先ず有り得ません。恐らくはそれが出来ていないのは先進国では日本だけではないでしょうか。言い換えれば日本は住宅の発展途上国なのです。アメリカやカナダの空調・換気のセントラル方式の工事はほぼ100%完備です。工事内容を見れば其の工事の技術の高さにびっくりするでしょう。勿論、設計段階から空調換気を全て工事に組み込んで構造仕様が決定されます。なぜなら其の配管の複雑さやダクト管の太さから言って家の構造に絡んでくるからなのです。設計で其の配管のスペースを全て決定しておかないと、後からでは工事できないのです。
1年間を通して、スイッチが切られる事がなくエアーコンディションされていて、換気の為のエアーフロー(空気循環)を成し遂げるには、断熱工事が高水準で施工されていないと、その目的が得られないのです。断熱工事が完璧に施工出来ていて初めて人間にとって快適といえる20度前後に保つことが出来、ついでに循環換気で湿度や不純物の除去管理が出来るのです。
日本の家造りとカナダの家造りを見比べれば、其の答えが一目瞭然で分かります。日本の家造りでは高度な断熱工事も、さらに言えば快適で高耐久性能の家は今後も暫くは期待できません。何故なら作り手も住み手もその世界水準の工事内容の実態を知らないのですから、出来ようがありません。井戸の中の蛙が太平洋の広さを見ずに何が語れましょうか?何を行動に移せましょうか?
はっきり言います。断熱工事は換気工事、空調工事を同時に設計・工事されないとその意味が叶えられないのです。
断熱工事は外と中の温度差を埋めるのですから、必ず、湿度に左右される結露の問題が伴います。人が住み、キッチンがあり、ストーブを焚いたり、鍋を囲んだりする我々の日常生活で水蒸気を発生させないとか、二酸化炭素が出ないとかは現実的ではありません。春や秋には花粉も飛び、湿気が高いとダニやカビの危険にもさらされるのです。
それらの問題を取り除いてくれるのは人為的な換気でしかないのです。人為的な換気をより完成度の高いものにするには高断熱で高気密な家に先ずは下準備で造られていないと意味のないものになるのです。
また、湿気が引き起こす結露という現象は其の水分が家の主要構造を腐らせたり、錆びさせたりします。つまり結露を防ぎ、家を長持ちさせようとするには、結露させない工事が必要となってくるのです。
外断熱は内断熱に追加工事的な意味と夏場の室内の気温が外気より低い場合に有効になるものです。しかし、今の日本で普及しつつある、またTVコマーシャルでお客様に勘違いを誘うような説明の、其の上、別に高価な工事費を取って、素人を騙す様な中途半端な説明でその内容を美化するのは大きな大きな問題になるでしょう。私は外断熱が悪いとは言いません。それどころか内断熱外断熱併用工事が最高のものであることを断言します。しかし、外断熱工事だけでは、それは間違いです。そして、その施工工事が別に費用が発生するのならもっと“ブー、NO”です。そして断熱工事が換気工事と同時に併用されていないのなら、初歩的な意味でお話にならないということです。
最近のことですが、本屋さんで外断熱を推奨するかのような本が目に留まり、思わず買ってきて読みました。其の本はこれまでの内断熱がまるで間違いであったかのように書いていました。口も方便といいましょうか、自分のしている事を正当化して物を売ろうと思えば、人はどうにでも言ってしまえるのだなあと感じました。外断熱が唯一の正しい、最高の断熱工事だと書いているのです。私はびっくりしました。外断熱が建築業界で注目を浴びてきたのは実際にはここ数年なのです。まだ何の立証もない、また何の歴史もない工事をそこまで正当化する理由がきっと他にあるのでしょう。この業界では常に新しいものが出来ては廃れていくという繰り返しなのです。外断熱のメリットとデメリットが結果としてきちんと出てくるにはまだかなりの時間を要するように思います。
ただ私に言わせると、冷静に平等に科学的に検証したときに外断熱工事だけでは、建築工事としては問題工事になると言い切れます。水蒸気が結露したとき其の水はどこに発生するのでしょうか。どこに逃げられるのでしょうか。どうして其の結露水が家を腐らせないと言い切れるのでしょうか。そこには嘘と誤魔化しが隠されているように思うのです。
では何故外断熱工事が良いと昨今こんなにも叫ばれているのでしょうか。それは工事の施工性にあるのが一つの理由でしょう。木造軸組み工法で柱と柱の間に綿状断熱材を完璧に施工するのが不可能に近いくらい難しいのです。筋交いや、日々増え続ける金物の多様化、水道や電気の配管・配線、コンセントやスイッチのボックス類、綿状断熱材の施工を邪魔するものばかりです。
大事な理由はここからです。其の断熱工事をいったい誰が施工してきたか知っていますか?大工さんなのですよ。「受け取り」といって“一棟の家を完成させて幾ら”で請け負っている大工さんに一番つまらなくて一番厄介な断熱材の充填工事を其の請負の仕事の中に入れているのがこれまでの現実なのです。痒くて暑くて何の技術性も感じない断熱材の充填を彼らが手を抜かずに完璧にするわけがないのです。最初から無理があり、不可能なことなのです。それを請け負わせる元受会社、親会社はもともと建築の専門家でもなく、家を売って大儲けをしたいだけの商売人なのです。更に付け加えると断熱工事は其の性質から完璧に施工されないとあまり意味がないのです。90%位では全く駄目なのです。95%でも駄目です。最低98%か99%位の完成度が要求されるものです。例えば、プールの防水工事を考えてみてください。「プールの底の防水工事が98%は完璧です。」と言われて、貴方は「十分です。ありがとう、ご苦労様。」といいますか?
水を張ったプールは翌日の朝にはすっかり水が抜けてしまっていることでしょう。室内の水蒸気を含んだ空気の流れがそこまで重要だとは言いませんが、水も空気も似たような性質のものなのです。穴があればどんどん出てゆく。隙間にどんどん流れ込んでゆく性質の物なのです。断熱工事は完璧を求められているのです。そして断熱材の充填と共に絶対施工されるべきはベイパーバリアです。これが無いと水蒸気は壁の中に入り、断熱材の中で結露し、べとべとの布団のような層を作ってしまい、性能が損なわれるどころか、腐食やカビやダニの発生の温床になるのです。
外断熱工事のみで部屋の中の水蒸気はどこに行き、どこで結露し、どういう結末になるのか教えて欲しいものです。
外断熱工事にしても内断熱工事にしても今説明申し上げたように、其の性質上、完璧を要する工事なのはお分かりになられたでしょう。それが今までの建築工事の実態では大工さんに全体の請負の仕事中の一つであったことが問題だった背景があるのです。断熱材充填を別の工事として専門業者に請け負わせれば、まだましである様に思います。
最近の外断熱工事の施工がまさにそれなのです。これまでの内断熱と違い施工性が良い、加えて特殊な専門材料を敢えて作り、特別な層を作らなければならないから、別途工事だと振れ込む。そこでたっぷりお客様から予算を巻き上げて、別に専門職としてそれだけの業者に請け負わせる。販売業者の戦術としては最高に美味しいものでしょうね。
そもそも外断熱工事を勉強してみると、床下の層や屋根裏の層が無いのです。びっくりです。床下や屋根裏の意味がどれほど大事なものか建築を現場実践も含めて少しは勉強したことのある人間なら、十分承知しているはずなのです。こんな考えを邪道といわずして何を邪道というのでしょうか。
結論を申し上げます。外断熱は内断熱の上に更なる高級工事としてあるべき工事なのです。それ単独では功をなしません。どちらにしても大工の請負工事に含めた断熱工事で其の目的を達成しようとした業界の考え方がそもそも間違っていたことを知るべきです。
断熱工事は完璧を求められる工事であること。それを実現するには其の専門職をそれだけの為に施工させるべきであること。断熱工事は空調換気工事と併用でなければ意味が無いということ。結露対策を同時に施工に組み込まないと意味が無いし、家を腐らせてしまうということ。高い別途工事を必要とする、また、最近急劇に注目を集めたような歴史の無い工事にはよくよく慎重に対処しないと怖いということ。
以上のような点を大いにご注意いただいて、新築の断熱工事を今一度勉強しなおしてくだされば私は嬉しく思います。私は25年間この勉強をしてきたのです。其の経験と実体験がそう言わしめるのです。
最後に弊社の断熱工事を説明して終わりにしたいと思います。
弊社では内断熱を完璧に施工します。大工さんには請け負わせません。大工さんの施工を助ける形で細かな部分の施工の補助をします。綿状の断熱材のほかに発砲ウレタンやコーキングも使います。とにかく2mm以上の隙間には全て断熱材を入れます。弊社はツーバイシックスが基本工事です。これは最近の北米の標準です。ツーバイフォーは今やもう施工されていません。つまり外壁は140mmの厚みがあるわけで其の中を隙間無く綿状断熱材で覆います。其の上に0.2mmのベイパーフィルムで完璧に覆います。重ね合わせた部分はベイパーテープでシールします。ステープルだけでは不十分です。コンセント・スイッチの裏はカナダから取り寄せたベイパーボックスで覆います。配線で穴を開けてしまったらシリコンコーキングで隙間を埋めます。とにかく99%以上の施工を実施します。そうでないと目的を達成できないのです。
そして計画換気で24時間換気の設計施工を工事に併用させます。今のシックハウス法の施工に伴う換気では全く意味が無いのをここに付け加えます。部屋に穴を開けただけで、トイレに100mmの強制換気扇を付けただけでどうして換気システムといえるのでしょうか。ふざけた戯言そのものです。一般人を馬鹿にした法律そのものです。
つまり、各部屋には一切自然吸入式の穴はあけません。気密住宅に成り得ないからです。屋根裏空間に集中式の熱交換型の換気の機械を据え付け、そこから家全体の空気を吸収し、換気浄化し、外からのフレッシュな空気と熱を交換させて、各部屋に専用ダクト配管にて戻すのです。それで24時間365日空気を回します。部屋の中のダニや埃、ダストはフィルターで除去します。湿気は部屋内でコントロールしてもらいます。結露が発生しないように空気と温度管理をしてもらうのです。万が一結露が発生しても決して壁の中に入れないようにするのです。壁内結露は家を腐食させ、寿命を極端に縮めます。
そうして高気密、高断熱プラス、計画換気が完璧に同時に施工されて始めて断熱工事を施工していると言えるのです。
弊社は社員により施工することによりそれを実践のものとしています。こういった工事は理屈を分かった人間がお客様の顔を思い浮かべながら、親切丁寧に施工できないと完璧にはならないのです。請負制度や安物つくり、金儲けだけの営利主体の会社などでは実行できません。
どうぞ一度是非弊社の現場にご来場いただき、弊社の施工状況をご見学下さい。また機会が御座いましたら、是非ともカナダの現場の見学も実現されますことを強くお勧めします。乱筆乱文でかなり分かり辛い説明になったことをどうぞお許し下さい。何かご質問が御座いましたら、いつでもお伺いいたします。有難う御座いました。
AHM(American Homes and Marine)